どうぞ物語の最後まで。

14:17


死神と少女 (PSP)
ジャンル:幻想物語アドベンチャー
発売日:2013年7月28日
CERO:B(12才以上対象)
原画:すみ兵
シナリオ:藤元
公式サイト



死神と少女の、幻想物語。
とても重かった…物語が胸の奥に沈み込んでいって、それから逆に深く深く世界に呑みこまれていくような…そんな感覚。上手い事言えません。文章は丁寧で美しく、雰囲気は決して明るくない。(陰鬱とかグロとかそういうのではない。ただしゾクっとはした。)薄暗く、闇というか夜。ヒロインはとても美しい少女。それをクラシックな音楽が彩り「死神と少女」の世界へ誘う。
乙女ゲームとして始めると肩透かしを食らうし、乙女ゲームではないのだろうと思う。読了後も全てがスッキリするということはなく、余韻と謎を残して終わる。「全部自分で読んでください」としか言えない…1つの側面だけでは分からない、全体を通して読むと、人の想いに、真相に、在り方に触れて胸を掻き毟りたくなったり、涙したり、ハッとしたり…ダークな香り漂うファンタジー。幻想物語。それぞれ皆孤独を抱えている。色々と抉られるけど、好きです。疲れるけど!

事前に知っておいた方が良い事としては、

・とにかく、全部読まないと分からない。読み終わった後も、考察したくなるような部分が多い。
・乙女ゲームとは言えないので、乙女ゲームとしてやると期待外れ。(幻想物語。)
・読み応えはある。文章もしっかりしている。(没頭して読み進めればあっという間かもしれないけれど。)
・自己投影、感情移入できるタイプではない、全くもって個性の強いヒロイン。
攻略順は公式推奨がオススメ:日生光→桐島七葵→隠し→遠野十夜→蒼

このくらいかな。合う合わないが物凄く別れそうだし、ちょっと萌えてみようかとか一切考えない方が良い。そして男女どちらでも楽しめそうな作品(合うならば)。最後まで読まないと分からないというのが苦手な人も回避推奨。気軽に楽しむという感じでもないので、じっくり読み込んで考察するのが好きな人には合う、筈。


以下、ネタバレ含みまくりの各キャラ感想など。
1回読んだだけなのと、深く掘り下げたりしていないのでザッとしたメモなので、今後また読み返して、追加するかも。(暫くは封印しとくけどね。疲れるから!(笑)好きなんだけど、色々と考えてしまうのでもう少し頭が柔らかくなってから再度読みたい。各章(物語)についてもいつかメモしたい。

遠野紗夜
死神と少女 応援中!

究極の愛されヒロイン。「愛され」という言葉では追いつかないか。逆ハーレムとは違う。「死神と少女」は、彼女を救うための物語なので、どういう救われ方をするか、その形を描いた物語のように思えた。彼女自身は自分の美しさを自覚し、そしてその美しさを憎む気持ちも内包している。安定しない情緒を持つ、愛を乞うひと。生命力が弱そうで実は強い。強いというか強か。感情のふり幅が大きく激しい。感情移入とか共感とかそういうものを受け付けないというか、そういうゲームではないのよと見せつけてくる。紗夜は紗夜なのであった。凄い子だと思う。何も出来ないような無力なお姫様のようであり、幻想を形にするほどの力があるのでなんでもやり遂げそうでもある。弱くて強かで愚かで賢しくて清くて凄い娘。私も何だかんだで好き。男だったら惚れないとは思うけれど、その美しさの前では降参するしかないのだろうか。

日生光
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大いなる愛を持つ嘘吐き。「(紗夜が)笑っているのが嬉しい。その結果が大事で、その過程に自分がいなくても良い」との発言通り、本当にそういう人だった。大きな愛に震える。結局、本当の意味では紗夜は彼に恋することはなく、報われない愛。ルートに入らなくても、彼女を想い、真実へと導く鍵を渡す。日生ルートではどっぷり依存。依存の対象が兄から日生先輩に移るだけという哀しさ。紗夜は、あっという間に体を許して、心も体もがっちりと絡め取られて、それこそどろどろに溶けたチョコレートのようになるのだけれど、それは恋や愛じゃない。(でも、自分の幻想(兄)から人へ対象が移ったという意味では1つ段階が進んだと言えるのか?)それでも、詐欺師で”何もない自分"が差し出せるものは愛(嘘)しかないということで、ずっと彼女の為に嘘をつき続けるのだろうと思うと可哀想。だけれども1つの幸せの形かも、な。賭けに負けたのは自分…好きになったのは自分ということですか。日生(真)と婚約するというバッド?も、あれは実際どっちなのか。どっちとも取れるように暈してあって、ぞくっとする。
一番官能的というか性的な面を強く感じた。(指への愛撫に仰け反る)でもルートでは、紗夜の依存の息苦しさと危うさ、彼の裏にあるものが見え隠れして恋愛してるという意識は皆無だった。

桐島七葵
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まっすぐで強い人。とてもとても。幻視できるのがヒロインとの共通部分。読み手側にいるから色んなものが見える。孤独だけれど、それを知りながら受け入れる人。こちら側の世界の人。(ガンパレードマーチを思い出した)「俺は外れ者だからな」という言葉が痛い。私と幸せになろうそうしよう。彼だけ読み手側の人間なので、物語がないのね…。でも彼とのエンディングが一番真っ当に幸せという感じがする。(しかし紗夜には渡したくないなーアハハー)七葵ルートが一番恋愛色も強い。とは言え、そこがキモではないので僅かなものなのだけれど。不器用でズバズバ厳しく言うけど正しくて優しく面倒見が良い。名前呼びとか、可愛らしい初心な部分がちらっと見えたり照れたりするのがとても良かった。そんな彼が大好きです。千代と先輩との決別の仕方も涙を誘う。強い。2人とも紗夜の事を想って、お互いの気持ちが分かっているからそれをハッキリとは表わさない辺りも爽やかで美しい。このルートの紗夜は必死に2人の間を繋ごうとしていたのが健気であった。たとえ自分の為だったとしても。
余談だけれど初対面の印象は「真田弦一郎」であった。武士。でもお料理上手で最高です!

千代
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優しい癒しの秋桜。何はなくともパァァァァッっていうはにかんだ笑顔が可愛い。彼がいるだけで和む。死神と少女のマイナスイオン。結局どういう存在だったのか、秋桜そのものだったのか、秋桜の想いに共感した男の想いだったのか。答えは謎のままだけれど、幻想物語として儚くも美しいルートだった。千代に八千代に幸せに…と彼にとっての桜と幼馴染に別れを告げて見守る結末に涙。
幻視できる七葵先輩と一人だった千代、お互いの存在が十年の間どれだけ慰めになっただろうか。(七葵先輩は変に思われて辛かったこともあっただろうけれど)千代と七葵先輩はセットというか対になる存在で、それこそ兄と紗夜と全く同じで、彼女が千代と七葵の別れを物凄く怖がったのも、もしかすると無意識に自分と兄の姿を重ねていたのかもしれない…というのは深読みかな。(とにかく人との別れ、自分の周りから人が居なくなることが最大級のトラウマだからね。彼女)

遠野十夜
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紗夜の全てを肯定していくれる存在。兄であり、親であり、恋人であり、総てであった、黒い幻想の死神。早いうちから多分本当の兄ではないだろうと思っていたけれど、まさかの紗夜の幻想から生まれた死神とは。彼と結ばれるルートは究極の一人上手というか…でも意志ある死神だから最早彼女の理想から抜け出している、よね?最後は特に。黒の章エンドは、結局のところ生き返ったのではなく死んで幻想世界で二人幸せに…ってことかと解釈した。誰も触れない二人だけの国キタコレ。十夜は十夜ルートよりも、蒼ルートの方が胸を打つ仕様。切ない程に。紗夜の悲痛な叫びと、消えて欲しくないけれどそれでも蒼を愛してしまった(兄を否定してしまった)苦しさが伝わる。彼女が他の男を選ぶとその存在は消滅する。誰よりも幸せにしたかったけれど自分ではそれが叶わなくて、その上で、彼女に殺したいと思っている相手を彼女が選んで、その選択を受け入れて消えてゆく…というのは、もう、相当に切ない。彼女の欲しい言葉を、優しさを、慰めをくれる兄。どんなときも、最後の瞬間まで彼は彼女を愛して、彼女の望みを1番に考えていた。幻想だけれどそれは幻ではないというか…不思議だね。十夜兄さんの正体を全て知ってから、序章から始めた時の切なさは異常。(これはどの人にも言えるけれど)


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「死神と少女」における、紗夜の運命の相手。幻想に囚われているというのが、蒼と紗夜の共通項。死神になりたかった人間。白い死神。孤独な二人が出会い、惹かれあって、心の欠けた部分を埋めあうのが死神と少女の物語。最後の最後で明かされる彼の真相を読んでやっと死神と少女は完結するという…。(あ、正しくは「あとがき」を見て完結だ)
彼が段々人らしい感情を持つようになり、紗夜に対する感情に引っかかりを感じて、それが愛していることだと理解する一連の流れは胸に来るものがあった。ちょっとずるいくらい運命の相手なキャラクター。彼が自分の想いに気づき涙するシーンはボロ泣きした。無表情で淡々…なのに、すっとぼけて天然でしつこくて大真面目。チャーミングな男である。しかも美形なのでやっぱりズルイとしか言えない(笑)。「自分には何もない」「じゃあこれはどうでしょう」と言って紗夜が蒼の手に自分の手を重ねるシーンは、輝いていた。こうして考えると紗夜が救おうとした人間というのは蒼だけだった。(結果的に彼女の存在で他の攻略者が救われたことはあったとしても、明確な意識をもって救いたかったのは蒼だけだったという。やっぱズルイ。でも好き。)それにしても声変わりして大分低い声になったね…とどうでもよい感想も書いておく。

その他
死神と少女 応援中!

・臥待さんは、何となく神様と思ってた。何でだろう。割と最初から。そしてそれは割と当たっていた。この人も結局紗夜という少女に魅せられた人なのかなあ。彼女が救われればなんでも良いんだということをシレっと言ってくるのが怖い。彼女に魅せられたというよりも、白雪さんが好きだったのかもね。あと蒼のお母さんも。だから二人いっぺんに救われればめでたしめでたしだったのか。しかし臥し待ちっていう姓、ぴったりだね。
・基本的に、暴言を吐く(クソだのボケだの)という意味での口が悪い子は好きじゃないのだけれど、夏目はそれが上手い事働いていたような気がする。浮世離れしたような、近づきがたい雰囲気を醸し出す主人公へに抱きがちな嫌悪感を代弁してくれる存在というか。でもとても良い子でした。ヴィルとのエピソードも良かった。ヴィルの声とか喋り方凄く良かったと思う。ぶっきらぼう可愛い。
・読み進めていくごとに、自分が思っていた以上に夏帆が賢くて素敵な子だというのが分かって嬉しかった。強くて可愛い。彼女の気になる存在は夏目なのだろうか。


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